【もしかしたら病気かも?】犬が臭う場合の原因と対策方法について

犬のにおいは、人によってはどうしても「臭い」と思ってしまうほど強いです。ある程度一緒に暮らしていると、段々と慣れてくるものですが、来客対応などのことを考えるとちゃんとケアした方が良いでしょう。また、あまりに臭い場合は病気の可能性もあります。

今回は犬の体臭のメカニズムや対策方法、臭いが強い場合に考えられる病気について解説していきます。

目次

犬の体臭の原因と汗のメカニズム

犬の体臭は汗によるものですが、人間の汗とは違って臭いが強くなりやすいです。汗を出す【腺】には、サラサラとしていて臭いの少ない汗を出す【エクリン腺】と、脂っぽく臭いの強い汗を出す【アポクリン腺】の2種類があります。

人間の場合、アポクリン腺が少ない代わりにエクリン腺が多く、いわゆる汗臭いと言われるにおいはエクリン腺から来ています。反対に脂汗はアポクリン腺からの汗が大部分を占めていますので、脂っぽく臭いの強い体臭がするわけですね。

犬の場合は……というより、実は哺乳類のほとんどが人間とは逆にエクリン腺が少なく、代わりにアポクリン腺が多いです。アポクリン腺の出すにおいはフェロモンとして機能しており、かつ犬は社会を構築する生き物なため、このにおいが生活における重要なファクターとなります。

つまり、犬の体臭とは【フェロモンの役割を果たすアポクリン腺が多い故の臭い】のことです。

2犬の臭いの原因別対策

犬の臭いの原因は、ほとんどが体臭によるものですが、中には【口臭】や【肛門の臭い】で悩まされている人もいると思います。そこで、ここではこの4つの原因別に対策方法についてまとめてみました。

2.1体臭にはシャンプー

体臭は汗が原因、もっと具体的にいえば皮脂汚れが臭いの元となっています。皮脂汚れを落とすには、やはりシャンプーで洗い流すのが最も効果的。トリミングサロンに頼んでいる人も多いのですが、頻度を考えると自宅でもシャンプーをしてあげた方が良いでしょう。最適な頻度は犬の汚れ具合で変わってきますが、およそ【2週間に1回】がベストだとされています。

特に足や顔、お尻は汚れが溜まりやすく、ふき取りシートだけではきれいになりません。汚れやすい雨の日の散歩から帰ってきたときは、なるべく足だけでも水かシャンプーで洗った方が良いです。

ただし、子犬や老犬は身体への負担を考慮する必要があります。子犬の場合、環境が変わって緊張している時期は無理をせずに、慣れるまでふき取りシートやドライシャンプーで汚れを落としてください。老犬の場合は体調の良さそうな時のみシャンプーをして、それ以外の日は子犬と同様にふき取りシートやドライシャンプーに留めておきましょう。

2.2口臭は歯磨きによるデンタルケア

犬の3歳以上の8割が歯周病を患っていると言われており、歯周病は口臭の原因となります。犬は人間と違って虫歯にはなりにくいですが、歯垢(歯周病菌の塊)が歯石(歯垢が硬質化したもの)へと変化するスピードが3日程度ととても早いです。歯磨きを少し怠っただけですぐに歯石ができてしまうため、毎日歯磨きをして口内を清潔に保つことが非常に重要となってきます。

ただし、歯垢は歯磨きで落ちますが、歯石は歯磨きでは落とせません。動物病院で歯石除去を行う必要があります。毎日の歯磨きと共に、年一回の歯石除去も忘れずに行いましょう。

2.3肛門の臭いは肛門腺のお手入れ

肛門から便のような臭いがする場合は肛門腺の分泌物が原因の可能性が高いです。肛門腺は肛門の左右、時計の4時と8時の方向にある計2つの袋のことで、その中には悪臭を放つ分泌物(肛門腺液)が溜まっています。

通常は排便時に肛門腺が圧迫されることで、便と一緒に分泌物も排出されます。しかし、生まれつき肛門腺が圧迫され辛い子や、何らかの要因で排出する穴が塞がってしまっている子は分泌物が出ずに溜まっていってしまいます。これが肛門の臭いの元となっているのです。

この場合は定期的に肛門腺から分泌物を絞る【肛門腺絞り】をしてあげる必要があります。しっぽを持ち上げて肛門が見えるようにして、肛門から押し出すように絞ることで分泌物を出せます。シャンプーの時に肛門腺絞りをすれば、一緒にシャワーで洗い流せるのでおすすめです。

3犬の臭いが強い場合に考えられる病気

臭い別の対策をしているにも関わらず、犬が不快な臭いを出している場合は病気の可能性があります。特に【便のような臭い】や【酸っぱい臭い】がする場合は、肝臓や腸に異常がある事が多いので、早めに動物病院で診察してもらいましょう。

ここでは【体臭】【口臭】【便】の3つにおいて、臭いが強い場合に考えられる病気について解説します。

3.1体臭がいつもよりも臭い場合

ちゃんとシャンプーによる体臭ケアをしているのに、体臭が臭い場合は【脂漏症】や【指間炎】の可能性があります。

脂漏症とは、皮脂が多量に出てしまい油っぽくなったり、反対に皮脂が少なく皮膚が乾燥してしまう状態です。皮脂が酸化したような臭いがする場合は、この脂漏症を疑った方が良いでしょう。もともと犬がなりやすい病気である他、アレルギー性皮膚炎やマラセチア感染によって発症する場合もあります。

指間炎はその名の通り、足の指の間や肉球の間に炎症がある状態のこと。皮膚疾患やケガなどで炎症が起き、犬が痛痒いからとしきりに舐めたり噛んだりして悪化してしまう事もあります。足を常に舐めてしまうため、臭いも強くなりやすいです。

3.2口臭がいつもよりも臭い場合

口臭の原因は歯周病によるものが大半ではありますが、それとは別に内臓の機能不全や便秘の可能性もあります。

内臓の機能不全の中で、口臭に関係するのは主に腎機能不全と肝機能不全です。腎機能不全では尿として排出されるはずだった毒素が、肝機能不全では肝臓で代謝されるはずだった毒素が体内に溜まります。結果、身体の中にある毒素の臭いが口臭となるのです。

口から便の臭いがする場合は、便秘及び腸閉塞の可能性があります。腸閉塞は異物の誤飲や腸の神経が麻痺している場合に起きるもので、そのままでは命に関わる危険な症状です。

3.3便がいつもより臭い場合

食事内容や生活環境を変えていないのに、便の色や臭いがいつもと違う場合は体内に異常がある可能性が高いです。

例えば便の色が赤、もしくは黒い場合かつ鉄の臭いが混じっているのなら体内の出血が考えられます。赤色の場合は肛門の近く、黒色の場合は胃や小腸など肛門から遠い場所から出血している事が多いです。

他にも黄色っぽい場合は肝臓やすい臓に異変があるかもしれません。この時は脂っぽい便や下痢をしている事が多いのが特徴です。

4犬の臭いと匂い

犬はもともと【犬臭い】と言われるように、体臭が強い動物です。犬と同じくらい人気な猫が反対に臭いがほぼ無臭なだけに、犬=臭いがあると思われがちなのでしょう。しかし、それでもシャンプーやデンタルケアをきちんとやっていれば、微かに犬の体臭がする程度にまで留める事ができます。

シャンプーの中にほのかに犬の匂いがすると、今までの強い臭いとはまったく違ういい匂いとまで思えるようになるでしょう。もし、それでも何らかの臭いが残っている場合は、今回解説したように病気を患っている可能性があります。愛犬のにおいが【犬のいい匂い】なのか、それとも【くさい臭い】なのか判断できると、病気の早期発見へと繋がります。

天国への扉コラム