【本能的なもの?】猫が爪とぎする理由と対策方法について

猫が一生懸命に爪を研ぐ姿は、いつものんびりしがちなイメージとは違って新鮮ですよね。しかし、壁や大切な家具にまでバリバリされてしまっては困ります。しかし、これはしっかりと意味があっての行動なので、無理に抑えつけてもストレスになってしまいます。

そこで今回は猫が爪とぎをする理由と、壁や家具で爪をとがれないように訓練させる方法について解説していきます。

目次

1猫が爪とぎをする理由

そもそも猫が爪を研ぐ理由はなんでなのでしょうか?いくらなんでも、なんの意味もないとは考えづらいですよね。そう、この行動にはちゃんとした意味があるのです。本能、マーキング、ストレス、飼い主に対する要求……爪を研ぐというたった一つの行動にも、これだけの意味が込められています。

では、爪とぎをする理由について詳しく見ていきましょう。

1.1鋭利な爪を維持するため

猫というより、ネコ科は狩猟によって獲物を捉えて食べる肉食の動物であり、特に鋭い爪を活かした狩りが得意な動物。その時の本能がまだ残っているため、爪を研いで鋭さを維持しているのです。その証拠に、猫だけでなくライオンやトラも木の表面を使って爪とぎをします。動物園でも爪を研いでいる様子が見れることもあるので、機会があったら観察してみてください。

また、爪を研いだ場所をよく見るとたまに古い爪が落ちていることがありますよね?実はネコ科の爪は玉ねぎのように何層にも分かれており、中心に神経や血管があるという仕組みで、このうち外の部分は時間とともに硬くなっていきます。爪とぎは先端部分の古くなった層を剥がし、より鋭くより柔軟性の高い爪を維持するためにも必要な行為だったのです。

1.2マーキング

動物は自分の居場所を守り、自分のテリトリーを周りに知らせるためにマーキング行動を取ります。猫の場合、肉球に【臭腺】と呼ばれる強い匂いを放つ腺があり、それを爪とぎするときに擦り付けることで自分の縄張りを主張します。更に爪痕も残せるので、マーキングとしてもうってつけの行為というわけですね。

また、猫は木や柱などの垂直な物に爪とぎをする際に身体をできるだけ伸ばして高い位置にとぎますが、これは自分をより大きく見せるためです。動物の世界では体の大きさは強さとも言える側面もあり、縄張りに侵入してきた相手に対して「自分は大きく強い動物だ。ケンカにも負けないぞ!」と主張するために高い位置に爪痕を残します。

1.3ストレス解消

猫にとって爪とぎは習慣とも言える行為であり、ストレスを溜めている時や起きた瞬間の寝ぼけた時の気分転換として爪とぎをすることもあります。特に室内飼いが当たり前となった現代の猫は自分の今いる家こそがテリトリーとなっているため、来客などで知らない人や動物がやってくるとストレス解消とマーキングの意味を込めて爪とぎを行うことが多いそう。

仕事の関係や友好関係の都合で来客が多い家では、なるべく猫をゲージや隠れられる場所に移動させるなど一匹になれるポイントを確保してあげましょう。

1.4要求行動

爪とぎをしている時に飼い主が猫に対して何らかのアクションを取ると、爪とぎをすると構ってくれると判断するようになります。飼い主の目の前で爪とぎを始めた場合、構ってほしい時や関心を引きたいからかもしれません。そういう時は変に無視したり怒ったりするとストレスを抱えてしまう可能性もあるため、思いっきり構ってあげましょう。

また、自分の力だけでは目的を完遂できない時などにも要求行動として爪とぎをすることもあります。分かりやすい例では、ドアやドア付近の柱などに対して行った場合、「外に連れてって」という合図であることが多いです。

2猫の爪とぎ訓練と対策グッズ

猫にとって爪とぎは大切な行為ではありますが、だからといって壁や家具をボロボロにされてしまっては困ります。猫にとっても飼い主にとっても、爪とぎ対策と訓練は必要不可欠となってくるでしょう。

ここでは爪とぎの訓練方法と対策グッズについて解説します。

2.1猫の爪とぎは止められない

まず大前提として、猫にとって爪とぎは本能に基づいた行動でありおいそれと止められるものではありません。元々の性格などで爪とぎをしない子も中にはいますが、普段から定期的にやっていた子が急にやらなくなった場合は病気の可能性を疑った方が良いほどです。

ではどうやって対策をするのかというと、爪とぎを【させない】のではなく【させる場所を固定化させる】ことで対応します。どこでも爪とぎをするから壁や家具が傷ついてしまうのであって、ちゃんと指定した場所で爪を研いでくれるなら何も問題ないわけですから。止めさせるのではなく、存分にやらせた上で部屋が荒らされないように対策する方が、お互いにとって嬉しいことですよね。

また、爪とぎ訓練は子猫の段階で開始した方がスムーズに覚えさせられます。早い子は生後数ヶ月で爪とぎする時もありますので、その時に場所を指定させてあげるのがおすすめです。もちろん、成猫であっても時間こそかかりますが、根気よく訓練していればそのうち覚えてくれます。

2.2猫の爪とぎ用の場所を用意する

猫の爪とぎ用のグッズを購入しても、そこで爪とぎをしてくれないと意味がありません。猫が好きな匂いを付ける、優しく誘導して爪とぎをさせる、うまく出来たらちゃんと褒めてあげるという流れを繰り返していくうちに、「ここで爪とぎしたら褒めてくれる」と認識してくれるようになります。

また、たとえ飼い主が意図しないところで爪とぎをしてしまっても怒ってはいけません。ストレスの原因になりますし、「ここで爪とぎをすると構ってもらえる」と認識してしまう恐れがあります。誤った場所で爪とぎをしてしまった場合は、怒らずに正しい場所まで誘導してあげましょう。

2.3猫が爪とぎをしたくなくなるようにする

爪とぎ用の場所を確保したら、反対に【ここだけは爪を研いでほしくない】という場所にも対策をしましょう。よくある対策グッズはおすすめ順に、対策シート、防止スプレー、ネイルキャップがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

対策シートには爪とぎを【あえてさせる】タイプと【させない】タイプの2種類があり、使っている素材が異なります。前者はダンボールや木などで作られており、とがせても壁や家具までは傷つかないようにできています。後者はツルツルとした素材で作られており、爪を研ぐには向かないため「ここでとぎたくない」と思わせることができます。

防止スプレーは猫が嫌いな柑橘系の匂いを散布することで近寄らせないようにします。簡単かつ景観を損なわない反面、使いすぎると猫にとってストレスになったり、匂いに慣れて効果が薄まる可能性があります。

ネイルキャップは爪を保護するために使われるものですが、爪とぎ防止としても機能します。爪とぎをしたくても、物理的にとげなくさせられるわけですから効果は抜群です。ただし、猫にとって大切な爪とぎ行為を抑えてしまうことになりますし、根本的な解決にはならないため、あくまで緊急手段として用いるようにしましょう。

3爪とぎを【させない】ではなく【そこでさせる】ことが大切

爪とぎ問題は子猫の時から訓練させておかないと、成猫になってからでは中々改善しません。かといって無理やり止めさせようとしても逆効果、爪とぎはさせないのでなく指定された場所でさせるための対策が必要なのです。

まず子猫から訓練した方が良いという事を念頭に、猫を飼い始めた人は早い内に爪とぎの場所を覚えさせましょう。成猫の場合はとにかく根気よく教えることが大事、【間違っても怒らない】【うまく出来たら褒める】を徹底させましょう。

天国への扉コラム