ペットが亡くなった時に位牌や遺影は必要なのか?役割について解説

大切な人が亡くなった時、人は死を偲ぶためにお葬式を執り行います。そして葬儀において欠かせないのが位牌と遺影です。しかし、明確なルールが定まっていないペットのお葬式には、必ずしもこれらが必要というわけではありません。果たして、それでも位牌や遺影は必要なのでしょうか?

今回は位牌や遺影がもつ役割や、ペット用に作られている遺影や位牌の種類について解説していきます。今回のお話はテーマ上、仏教や儒教に関する話題が出てきますが、本記事において個人や団体の宗教観を語る意図はありません。あくまで位牌と遺影の役割について解説しています。

目次

1ペットに位牌が必要な理由

位牌は魂の依り代ともよべるもので、位牌が無ければ魂は帰ってこられません。また、残された人は位牌を通して故人に想いを伝えます。

ここではペットにも位牌が必要な理由や戒名について解説します。

1.1ペットに戒名を付けられる

仏教徒の人が亡くなった時、戒名(かいみょう)が与えられます。これはこれまで俗世で生きてきた人が生前の罪を悔い改めて仏門に入り、仏教の戒律を守り通す証として与えられるもう一つの名前です。また、反対に仏門に入る前の元々の名前のことを俗名と呼びます。

戒名を与えられることで出家していない人も迷うことなく極楽浄土へ行けるとされています。また、浄土真宗では戒律というものが存在しないため戒名ではなく法名(ほうみょう)が、日蓮宗では法号(ほうごう)がそれぞれ与えられます。

さて、この戒名は実はペットにも付けられます。基本的に一族の者は菩提寺※にて戒名を授かることになりますので、まずはそちらに連絡してペットにも与えてくれるのか相談しましょう。ただし、【戒名は人が仏門に入るためのもの】という考えが根本にあるので寺院によってはペット不可の場所もあります。その場合はペット火葬業者に相談すれば、提携している寺院より戒名を授かることもできますよ。

ただ、ペットに戒名は必要ないという意見もあります。動物は人間のように私利私欲で悪行をすることもなく、ペットはただ人のために尽くし、人のために生きるものであり、そもそも悔い改めるような罪はないからです。

ですので、身も蓋もない話ですが【戒名は付けることもできるし、付けなくてもいい】という認識で構いません。

1.2位牌は魂の入れ場所

位牌は亡くなった者の戒名や俗名、没年月、享年が刻まれた木牌であり故人の魂が宿る大切な依り代です。仏教において魂が抜けた肉体は抜け殻に過ぎず、また同様に何も込められていない位牌はただの物であり、魂が入った位牌こそが重要だとされています。因みに位牌はもともとは仏教のものではなく、中国の儒教からきています。

位牌には【白木位牌】と【本位牌】の2つがあります。白木位牌は四十九日の法要の前まで用いる仮の位牌のことで、法要の後に寺院にてお焚き上げをしてもらいます。本位牌は四十九日の法要の後に用いる正式な位牌で、開眼法要にて位牌に魂を込めてもらい、お仏壇に祀ります。

ただし、ペットの場合は明確なルールがないため寺院や火葬業者によっては細かな方法が異なる場合があります。事前に確認をとっておきましょう。

1,3開眼法要と閉眼法要

ペット用の位牌を作りたいなら覚えておきたいのが【開眼法要】と【閉眼法要】です。

開眼法要は位牌に魂を込める法要で、これをもって位牌は故人の魂が宿る依り代となります。これに対して閉眼法要は位牌から魂を抜くための法要で、位牌を処分する際は必ずこれをしなければいけません。

2ペットに遺影が必要な理由

遺影は位牌と違って発祥や考案者が不明ではあるものの、日本の葬式やお参りには欠かせない物となっています。ペットをいつまでも忘れないために、遺影を飾ってあげましょう。

ここではペットに遺影が必要な理由について解説します。

2.1ペットとの思い出を残すため

遺影は故人の死を偲び、ずっと忘れないようにと作られる写真や肖像画のこと。ペットの場合も同じ意味が込められています。因みにある年を境にモノクロからカラーに変わっていますが、これは写真技術の向上や「冷たい印象を与えるため」とされています。

ペット用の遺影の写真を撮る際は、人間と同じく上半身だけを撮るよりも何気ない日常の一コマを用いることが多いです。もちろん厳かに祀りたい人は本格的に人と同じように撮ってもいいでしょう。

フォトフレームにも通常のタイプはもちろん、可愛らしいフレームもたくさんあります。気に入った写真に合わせた物を選び、ペットとの思い出をいつまでも忘れずに留めておきましょう。

2.2家族として愛した証

遺影というのは一族を祀る仏壇や床の間、縁の強い場所に飾るのが一般的です。つまり、ペットの遺影を作るというのは一族の一員として認める、すなわち【ペットを家族として迎え入れていた証】とも呼べます。

現代は昔と違い、ペットはただの愛玩動物にとどまらず家族として愛される存在となってきました。位牌や遺影、そしてそれを含めた本格的な葬儀も一昔前には考えられなかったのです。ペットもまた一つの尊い命、そう思える人が増えた今だからこそ、こうした証もペットに対する愛情表現になるのでしょう。

3ペット用の位牌や遺影をご紹介

人間用の位牌や遺影は厳かな物が多いですが、ペット用にはおしゃれなタイプや可愛いタイプも多いです。ぜひペットのイメージにあった物を選んであげましょう。

ここではペット用の位牌や遺影にはどんな物があるのか解説します。

3.1位牌の種類

位牌と聞くと、おそらく殆どの人が黒塗りのものを思い浮かべるでしょう。実際、人間用の位牌では木製の黒塗り位牌が最もメジャーです。しかし、ペット用の位牌にはそれ以外にも【クリスタル製】や【アクリル製】などのオシャレな位牌がたくさんあります。

また、書き方(横書きや縦書き)や大きさ、プリントやレーザー彫刻、ハード型などの形状など正に多種多様と言っても良いでしょう。他にも本格的に祀りたい人のための高級木材を使用した位牌もあります。

黒塗りの厳かな雰囲気も素敵ですが、無邪気に生きたペットを祀るには、位牌も可愛らしい物を選びたい人も多いはず。ぜひ大好きなペットのために、イメージにあった位牌を選んであげてください。

3.2遺影の種類

ペット用の遺影は、多くの場合【メモリアルフォトフレーム】や【メモリアルプレート】と呼ばれるフレームに収める事になります。また、人の遺影によく用いられる額縁タイプも、ペットに使用することもあり、様式を重んじる飼い主様には額縁タイプもおすすめです。

手元供養する人にはミニ骨壷をスタンドの後ろに収めるタイプがおすすめ。こちらはサイズが小さく、可愛いデザインが豊富です。

4ペットのために何ができるか

ペットはただの動物から、人間の家族の一員として迎え入れるということ。その死は家族の死といっても過言ではありません。位牌は魂の依り代であり、遺影は故人の死を偲ぶための物です。ペット用のルールや習わしが無い以上、無くても困るものではありませんが……それでもペットが生きた証として残しておきたいものでもあります。

家族として、そして飼い主として、ペットのために出来ることは生きている間だけではありません。亡くなったペットを想い、忘れないようにするのも立派な愛情表現の一つです。位牌や遺影はそんな愛情表現を形にした物であり、ペットのために何かしてあげたいという願いを込める物でもあります。ぜひペットとの思い出を形にして、大切に祀っていきましょう。

天国への扉コラム