ペットを看取る時なにをしたらよいのか

生き物を飼うということは、同時にいつか愛したペットと別れる時が来るという意味にもなります。別離の時は悲しいものですが、ちゃんとペットを看取るのも飼い主様の務めでもあり、最後にしてあげられることでもあります。

また看取る前のお世話も重要です。いわゆる終末期におけるケアもきちんとこなし、ちゃんと見届けることができれば、ペットも安心して天国へと旅立てることでしょう。

今回はペットを看取るまでから看取った後までの間に飼い主はなにをしたら良いのかについてお話していきます。この記事がペットとの最後の思い出の一助になれば幸いです。

目次

ペットを看取るということ

ペットをちゃんと看取る…言うのは簡単ですが、その意味をしっかりと理解できていなければちゃんとした覚悟もできません。もうすぐ別れがくる飼い主様も、これからペットを飼おうとしている未来の飼い主様も看取る覚悟や死亡理由についてちゃんと知っておきましょう。

ペットと別れる覚悟

ペットを飼ったことのない人は共感しづらい感情ですが、ペットを失うことの喪失感は想像以上に苛烈なものです。その辛さは、ペットロス症候群という病気として認識されるほど。そして、もしペットロスでなくとも喪失感を覚えることになれば、周りとの温度差や心無い言葉にも敏感になりますし、ペットが居ない生活に苦しむことにもなるでしょう。

覚悟したところでペットロス症候群を避けられる訳ではありませんが、それでも「いつか別れる時はしっかりと見届けよう」と思うだけでも違ってきます。犬や特定動物ならばその後の手続きもありますし、そうでなくとも火葬や埋葬などやらなくてはいけないことはたくさんあります。辛い気持ちを抱えたままでも構いません、自分を偽ることなくゆっくりと現実と向き合うこと。それがペットと別れる覚悟なのです。

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→ペットロス症候群にはカウンセリングが必要なのか

ペットの死亡理由から見る真実

飼い主であればペットには天寿を全うして老衰で旅立ってほしいと思うことでしょう。確かに、老衰で亡くなる割合は数こそ年々徐々に増えてきてはいますが、多くはガンや腎不全などの病気で亡くなっています。また近年では減少傾向にあるとはいえ事故死や行方不明になって帰ってこないケースも未だ多いのが現状です。

突然の別れやペットの苦しむ姿を見ながら別れることになった飼い主様も決して少なくないのです。だからこそ、看取る覚悟と共にいつ別れることになろうとも幸せな生活を過ごせるように愛情を注いでいく決意も必要です。「あの時こうしてあげられたら良かったな」と後悔することを少しでも減らせるように、今してあげられることを精一杯してあげてください。

しっかりお世話して、少しでも笑顔で居られる時間を増やしていきましょう。

よく聞く【終末期】とは

皆様は終末期という言葉を聞いたことがありますか?もしかしたらペット以外で知ったという方や、ペットが高齢期に入った時や病気にかかった時に獣医師から初めて聞いたという方も多いでしょう。

終末期とは老衰や怪我、病気などで明らかに医療の効果が無く、死に至ることが確定している状態において、余命が残り数カ月以内だと判断された後の期間のことを指します。分かりやすく言えば、【この先なにがあってもこの期間内に亡くなるだろう】と確定された期間のことです。

またこの終末期において、身体的または精神的な苦痛を緩和しつつ、人生の質(QOL)を可能な限り維持・向上させる総合的な処置のことをターミナルケアと言います。残りわずかな時間であっても、最後まで幸せに暮らせるように尽力する…それがターミナルケアです。命の終わりを自覚させられる辛い期間ではありますが、どうか最後までペットの幸せのためにお世話してあげてください。

ペットを看取るまでにしてあげられること

もういよいよお別れの時が近づいていたとしても、飼い主の役目は終わりではありません。看取ることになる前、そして看取った後でさえ飼い主がしなくてはいけないことは数多くあります。まず、ペットを看取る前までにしてあげるべき事について見ていきましょう。

最期の最後までお世話する

ターミナルケアでも少しだけ触れましたが、飼い主様である以上、たとえ悲しくても亡くなるその時までしっかりとペットの側を離れずにお世話してあげることが務めです。詳しいケア方法は後述しますが、なにより辛いのは徐々に弱っていくペットを見ながらお世話しなければならないことです。

「この前まで元気だったのに…」と嘆く飼い主のお話はよく聞きます。それでも、最後までペットの負担が少しでも軽くなるようにお世話することにはきちんと意味があります。飼い主様がいつでも側にいることは、死に近いペットにとってこれほど安心できるものもないでしょう。どうか最期の最後までペットを安心させてあげてください。

身体と心のケア

お別れの理由が病気であれ老衰であれ、自分が死に近い状態である事を知ったペットは肉体的にも精神的にも不安定な状態になっています。身体と心の両方をケアしてあげることが重要です。

・身体のケア

弱っているペットにとっては日常を過ごした我が家であっても危険地帯となります。五感が鈍くなっているので、今まで避けていた家具にぶつかってしまう恐れがあるのです。なるべくペットが暮らすスペースには物を置かないように意識し、もし置かざるを得ないのであれば衝撃を和らげるクッションを配置しましょう。それ以外でも、食事の仕方や運動に関しては獣医師とよく相談しながら決めましょう。

・心のケア

五感が鈍くなっているペットにとって、音や影は正体のわからない何かとしか分かりません。身体が弱っていることも相まって、常に怯えたり警戒している状態になっているかもしれません。窓には遮音カーテンをしたり、なるべくペットの側を離れないなどペットが安心する環境を整えてあげることが重要です。

看取る場所を選ぶ

近年の【ペットは家族の一員】という考えから、看取る場所を病院にするか自宅にするか悩む飼い主様が増えています。大切なのはペットの状態や飼い主様を含めたご家族の意思を総合した意向を、獣医師と相談しながら看取る場所を選ぶことです。

病院であるなら最後まで苦しまないようにしながら旅立てるように獣医師も尽力してくれますし、少々センシティブな話ですが安楽死させることもできます。自宅であるなら慣れ親しんだ場所でペットも安心して旅立てるでしょう。

どちらが正解なのかというものではありません。ペットの事を一番理解している自分が納得できる場所を選んであげましょう。

ペットを看取ったあとにすること

ペットが天国へと旅立つ姿を見送ったあとも、飼い主様がやるべきことはまだあります。辛い気持ちを抱えたままになるかもしれませんが、最後まで飼い主としてペットのためにできることをしましょう。

火葬方法や埋葬方法を決める

お別れを告げたのなら、次は天国までの旅路を作ってあげましょう。すなわち、ご遺体を火葬し、お骨を埋葬して供養するのです。しかし火葬方法、埋葬方法と一口に言っても、その中身は様々です。

例えば火葬であれば、弊社のような訪問ペット火葬や霊園での施設火葬、市役所による火葬があります。更にそこから個別火葬や引き取り火葬など、コースごとに分ければかなりの選択肢が浮かび上がります。埋葬方法も近年は樹木葬や海洋散骨など自然に還す方法もあれば、ペット専用のお墓や人間と一緒に入れるお墓もあります。

ご家族のご意向も含めて、予めインターネットなどで調べておくのも良いでしょう。特に埋葬は方法によっては管理や供養など、その後の生活にも関わってくる場合も考えられます。

ご遺体をすぐに火葬できない場合の保存方法

もしなんらかの理由でご遺体をすぐに火葬できない場合でも、適切に保存することで夏は1日、冬は2〜3日程度までなら状態を保つことができます。保存方法は下記にまとめましたので、ぜひご参考ください。

・亡くなったらすぐにご遺体の手足を折り曲げる

まるまって寝ている赤子のように手足を優しく折り曲げます。これは死後硬直によってご遺体が固まる前に、火葬炉に入れるようにするために行います。

・身体をきれいにする

亡くなったあとのご遺体からは、目や肛門などの器官から体液や排泄物が流れ出ます。これは自然現象なので、慌てずに拭き取りましょう。

・ダンボールなどの箱に入れて保冷剤で冷やしておく

ご遺体をきれいにしたあとは箱状のものに入れ、保冷剤で状態を維持させます。この時、保冷剤を直に当ててしまうと温度差で結露が発生し、水でご遺体を腐敗させてしまうことがありますので、タオルなどに包んでから置きましょう。

犬の場合は市役所で手続きを

もし飼っていたのが犬ならば市役所に死亡届を提出する義務があります。これは狂犬病予防法によるもので、死亡届には飼い犬の名前や犬種、死亡理由などについて記述します。また届ける時は登録した時に貰った鑑札も返還します。紛失している場合は市役所に申し出ましょう。

死亡届を提出しない場合、市は飼い犬が死亡している事実を確認できないため、通年通り予防接種を行うよう通達が来ます。この通達を無視してしまうと20万以下の罰金を支払わなければいけません。

幸い提出期限は亡くなってから30日間と長めに取られていますし、提出もインターネットや電話、郵送で完結する事も多いです。辛い時期ではありますが、しっかりと提出しましょう。

大切なペットが笑顔で天国に行くために

ここまでの解説を見た通り、大切なペットを看取る前も看取った後もやるべき事が多くあります。大好きなペットが居なくなることは辛いことですし、悲しくて何も手が付けられなくなることもあるでしょう。もしかしたらペットロス症候群になってしまうかもしれません。

しかし、だからこそペットが安心して天国へと旅立てるように飼い主様が最後まで責任を持って役割を果たす必要があるのです。悲しくなるのはそれだけペットを愛した証です。

今回の記事を参考に、ペットが気持ちよく旅立てるようにできることから始めましょう。

天国への扉コラム