ペットを飼う前に知っておいてほしい心構え

私たちは普段、自分の力で生きていけるだけの環境が整っています。自分で買い物をして、ご飯を作り、ベットをひいて寝る……当たり前ながら尊い毎日です。しかし、ペット達は飼い主様が与える世界が全て。一緒に運動して、ご飯を作ってもらい、寝床を用意してもらい寝ます。

ペットの生きる道は、飼い主様が作るといったも過言ではありません。だからこそ、無責任にならず、ペットの為に行動しましょう。今回はペットを飼う前に意識してほしいことと、昨今のペットブームについてお話したい事をテーマに解説していきます。

目次

1ペットを飼う前に事前に確認しておきたいこと

ペットを飼うということは、命を自分たちで育てるということ。「可愛い!」や「癒やされる!」というだけで衝動的に飼っていいものでは決してないのです。お金や環境、周りの了承等、身の回りの状況をしっかり整えてから楽しいペットライフを過ごしましょう。

ここではペットを飼う前に確認しておきたい点について解説します。

1.1ペットを飼える環境か

まず大前提として、今自分がいる環境はペットを飼える環境であるか確認しましょう。例えば賃貸では【ペット可】でなくては、ペットを飼ってはいけません。「そんなの当たり前」と思うかもしれませんが、バレないからと高をくくって隠れて飼っている人もいるのです。

もしペット不可の賃貸で、かつ大家さんや管理会社に相談もしていないのにペットを飼ってしまうと、契約違反による違約金や強制退去を命じられます。仮にそれらを免れたとしても、ペットと離れ離れになるか、それとも賃貸を出るかの2択を迫られるのは間違いないでしょう。賃貸を借りている方は、そもそもその場所がペット可なのか確認してみてください。

また、賃貸でも持ち家でも意識してほしいのが【部屋とペットのサイズ】と【室温・湿度調整ができるかどうか】です。大型犬を飼うには当然、犬がのびのび暮らせるくらい大きなお部屋が必要ですよね。同じように、エアコンなどペットに合わせた室温・湿度管理ができる環境であることも必要です。

1.2家族の了承を得ているか

ご家族で住んでいらっしゃる場合、きちんと家族の了承を得ている方が良いでしょう。家事に忙しい母親、毎日仕事に赴く父親、勉強で忙しいお子様、ペットとの生活は大なり小なりご家族を巻き込むことになります。

急用で飼い主様が留守になる時はご家族の誰かが面倒を見ることになりますし、夜泣きをしてしまう可能性があるなら予め相談しておかないとトラブルになりかねません。もしかしたら、言う機会がなかっただけで、ご家族の中に動物アレルギーを持っている人がいる可能性もあります。複数人で住んでいる以上、自分一人でペットとのお世話を完結させることはできないのです。

犬や猫は10年以上、小動物であっても数年は飼い主やその周りの人と一緒に暮らしていくことになります。しつけやお世話、高齢期の介護まで想定した時、病気や怪我、引っ越しなど環境の変化がないとも限りません。どんな状態になってもご家族と一緒に協力しながらペットと過ごしていきたいですね。

1.3費用を確保できているか

ペットというのは、維持費も含めてとにかくお金がかかります。ペット自体の価格、保険料、ワクチン、寝床など最初に買うべきグッズ……これらを購入するための初期費用は予め確保しておきましょう。犬の場合は狂犬病予防ワクチンや登録料等も必要になりますね。特に保険料はピンキリですし、悪質な物でなければ基本的に高いほど手厚い保険になります。

保護犬猫は検査や手術、ワクチン等の接種も終えていることが多いですが、それでも団体によって3万〜4万円ほどかかります。ペットを飼うためだけのお金しか確保していないと、スタートダッシュの時点でつまづいてしまうでしょう。

その後も維持費も、エサ代やおもちゃ代、病院代などで月1万前後はかかると想定した方が良いです。それに、ペットによってはシャワーやお水代もかさみます。もしもの時も考慮し、「大体これくらいかな?」と決めていたお金より多く費用を確保しておきましょう。

2ペットを飼ったら意識したいこと

犬や猫は10年以上、小動物も数年は共に暮らしていきます。それは私達からすれば短い期間かもしれませんが、その間に彼らは生まれて老いて死んでいきます。飼い主様は、命の一生を時には支え、時には見届けていくのです。

ここではペットを飼った時に意識しておいてほしいことについて解説します。

2.1ペットの為に時間を割く

ペットは、種族が違えど家族のようなもの。少なくともペットは貴方のことを仲間か家族だと思っていることでしょう。家族のために時間を割くことが当然であるように、ペットのための時間を確保するのも飼い主として当たり前のことなのです。

ご飯やコミュニケーションの時間はもちろん、外や施設など他の人もいるような場所では自分のペットが迷惑をかけないように見ていなければいけません。高齢期に入ったら介護のためにより時間を割くことになるでしょう。

今まで自分だけの物だった時間を、これからはペットと共有することになるわけです。ある程度ならペットホテルなどに預けたりもできますが、ペットのメンタルを考慮するとあまり多用できる手段ではありません。自分の時間をペットのために使う、このことはまず初めに意識してほしい内容です。

2.2何かあった時の責任を取る

悲しいことながら、実は意外とこのあたりの意識が足りていない人が多い印象です。自分たちが飼っているペットは、大切な可愛い家族である一方、誰かを傷つける可能性がある動物たちです。犬の牙、猫の爪、鳥のクチバシ……これらは大自然を生き抜くための強力な武器でした。

ペットとなった今は、使用する機会がないから使わないだけです。自らに危険が迫れば、防衛本能からその武器を振るうこともあるでしょう。もしそのせいで誰かが傷ついたときは、飼い主が責任を取らなくてはいけません。ペットたちはあくまで自分の身を守ろうとしただけであり、そういった状況を作り出してしまった飼い主にこそ否があるのです。

そんなことにならないよう、日々のしつけや人に慣れる訓練をしていくことは当然のこと。にもかかわらず、ペットが誰かを傷つけたという事件は跡を絶ちません。何かあった時の責任を取る覚悟、そしてそんなことにならないようにちゃんと管理する意識、その両方が今の飼い主たちに求められているのです。

2.3高齢期に突入したペットの介護

人もペットも、いずれ老いるもの。筋肉は衰え、骨はもろくなり、感情のコントロールも上手くできなくなるでしょう。そうなった時、足りなくなった物を補うことこそが介護の本質であり、飼い主様がいずれやらなくてはいけない責務でもあります。

ペットの介護が必要になった時、おそらく飼い主様の生活は一変するでしょう。ご飯のサポートや高齢期でもできる運動、夜泣きの対処など、これまでなんとなく出来ていたことすら勝手が大きく変わります。きっと、「可愛いから!」という理由だけでは耐えられない時もやってくるかと思います。

命を飼うと決めた瞬間から、いずれ老いた時の介護をする時がやってきます。そしてその時こそが、飼い主としての覚悟が試されるのです。今まで癒してもらってきた分、今度はペットを支えていきましょう。

3ペットを取り巻く現状

ペットブームは誰でもペットを飼えるようになり、より多くの人が動物に癒やされる環境を作ってきました。しかし、誰でも、気軽に、というワードは決して良いことばかりではありません。

ここではペットを取り巻く現状について解説します。

3.1貴方にとってペットとはなんですか?

今回解説してきた通り、ペットはただ可愛いだけの存在ではありません。お金はかかり、老後の介護も必要、何かあった時の責任は飼い主にあります。それはぬいぐるみやおもちゃではない、一個の命を持つ生物だからにほかなりません。そして、ペットを飼うからには、その命を最期まで見届ける義務があります。

飼ったばかりの頃はすべての動作が可愛く見え、吠えたり鳴いたりなど些細な問題にしか思わないでしょう。しかし、ペットがいる環境が当たり前になってくると、時にはペットの存在が疎ましくなることもあるかと思います。これは、【自分以外の生き物】が身近にいるとどうしてもついてまわる感情です。

大切なのはそういった黒い感情を否定することではなく、その上でどうやってペットと向き合っていくか。夜泣きを無くしたり、しつけを行ったり、周りの力を借りて最期まで命を養う覚悟が必要です。その上でこれを見ている飼い主様に改めて質問します。【貴方にとってペットとはなんですか?】

3.2ペットを捨てる人たち

ペットブーム以降、街にはペットショップが増え、手軽にペットを飼える環境が整ってきました。しかし、安価で飼える分、命を飼うことの重さを意識せずに飼い、そして捨ててしまう人も増えています。言ってしまえば、ペットを飼うことは人間のエゴです。しかし、捨てる理由までエゴイストになってはいけません。

ペットを捨てる人の多くは、【可愛いから飼った→可愛くなくなったから捨てた】【しつけやお金の問題で捨てた】など、大変身勝手な理由で捨てています。中には、仕方なく捨てる人たちもいるでしょう。しかし、言葉を選ばずに言うのであれば、【どんな状況でもペットを捨てるのはやめるべき】です。

ペットは飼い主を選べません。嫌だからと変えることもできず、生殺与奪の権をすべて飼い主が握っている状態です。ペットが幸せに生きられるか、それとも悲惨な結末を迎えるか、全ては飼い主にかかっている。だからこそ、モラルを大切にする人として、ペットを大切にしてください。

4ペットは生きています

ペットはただ可愛いから飼えるものではなく、一個の命に敬意と責任を持って飼うべきです。もちろん、可愛い仕草に癒やされたりすることの方が圧倒的に多いでしょう。しかし、それでも時に「邪魔だな」とか「自分の時間が欲しい」と思う事もあるかもしれません。ペットとの生活は、それぐらい飼い主と密着しているのです。

ペットはただ貴方を癒すだけの存在ではなく、時に笑い時に怒る私たちと何ら変わらない生き物です。それだけは忘れないであげてください。

天国への扉コラム