保護犬や保護猫を引き取る方法と立派な里親になるための心構え

ペットを飼う方法の一つとして、何らかの要因で保護されたペットを引き取って、里親になるというものがあります。通常、ペットはペットショップで購入する流れが基本的です。しかし、近年の保護件数の増加や飼い主になりたい人が増えたこともあって、里親募集も積極的に行われるようになりました。

しかし、保護された動物が今度こそ幸せに生きるために、里親になるためにはいくつか条件があります。今回は保護犬や保護猫の引き取り方、里親になる時に意識してほしいことについて解説していきます。

目次

1保護犬や保護猫を引き取るまでの流れ

保護犬や保護猫を引き取るには、【飼う為の条件】や【費用】など、いくつか気にしなくてはいけない部分が出てきます。

ここでは保護犬や保護猫を引き取るまでの流れを、【募集している場所】【引き取りの条件】【費用】の順に解説していきます。

1.1里親を募集している場所を知ろう

里親になるためには、当たり前ですが里親を募集している所に行かなくてはいけませんよね。最もメジャーかつ分かりやすい所といえば、やはり動物愛護センターでしょうか。基本的に行政機関によって保護された動物は、動物愛護センターに預けられ、一定期間の間引き取り手を待つ事になります。もし里親になりたい場合は、自分が住んでいる地区の動物愛護センターに連絡しましょう。

他にも、NPO法人や地域のボランティア団体が開催する譲渡会や公式サイトでも里親を募集しています。この場合は里親になるための条件が異なる他、事前に相談すれば空輸や陸送など離れている場所への移送もしてくれる所が多いです。

また近年はTwitterや個人ブログ、ネット掲示板などSNSを通して個人がペットを保護、里親を募集している事もあります。この場合、詐欺や犯罪の可能性も否定できないため慎重に連絡するように気をつけてください。

1.2里親になるための条件

里親になるためには、いくつか条件を設ける事がほとんど。保護された犬や猫は少なからず悲しい目にあった動物ばかりですから、次の飼い主にはしっかりと責任をもって飼ってほしいのです。条件は場所によって違いこそありますが、概ね下記の5つの条件が設けられています。

・犬や猫にとって住みやすい環境であること

(人見知りな子や騒がしい環境が苦手や子がいるため)

・里親として最期まで飼えるだけの安定した経済力を持っていること

・高齢者の場合は、万が一飼えなくなった時のために信頼できる預け場所を確保していること

・去勢や避妊手術など、無用な繁殖を避けるための処置をすること

条件を満たし、信頼できる飼い主だと判断された場合は、飼育方法を学ぶための講習会を受けた後に譲渡の申し込みができます。また、場所によってはトライアル期間や定期的な家庭訪問を設けている事もあります。

1.3譲渡の際にかかる費用

保護犬や保護猫は譲渡費用がかからないと誤解されている方は多いですが、厳密には少し違います。というのも、確かに『犬や猫そのもの』へのお金はかからないのですが、それ以外のところで費用が発生するのです。

例えば、マイクロチップ代やワクチン接種などの医療費は飼い主様となる人が負担します。ボランティア団体やNPO法人は、今後も活動していくための寄付金を募る事が多い他、費用の関係上動物愛護センターよりも少し費用が多くなる傾向があります。

具体的な金額は実際に問い合わせしないと分かりませんが、動物愛護センターは0円〜10,000円ほど、ボランティア団体やNPO法人は10,000円〜50,000円ほどかかる事が多いですね。病気の手術費用が高いなどの理由で、10万円を超える子も少なくありません。

それに、これはあくまで引き取る際の費用です。他にもゲージ代やエサ代、犬ならリード代や狂犬病予防ワクチンのお金など【ペットを飼い始めるための初期費用】も忘れてはいけません。予想外の出費に戸惑うことのないよう、申し込みの際は十分なお金を確保しておきましょう。

2犬や猫の立派な里親になるために意識すること

保護されたということは、少なからず辛い過去を背負っているということです。そんな彼らを養うからには、今までの過去を払拭できるぐらい幸せにしなくてはいけません。

ここでは、立派な里親になるために意識してほしい事について解説します。

2.1命を養うという自覚を持つこと

里親になるからには、【殺処分を減らすため】や【ペットをちゃんと幸せにする】といったポリシーや信念があることかと思います。そうした考えはとても素晴らしいものですが、改めて本当に命を養うということについて深く考えてみましょう。

保護された犬や猫も、初めは人の手によって飼われていました。一部のひどい飼い主を除き、ほとんどの人はペットを飼い始めた頃は愛情をもって育てていたはずです。しかし、お金の問題や引っ越し、多頭飼育崩壊などやむを得ない事情で捨ててしまったり愛護センターに引き取ってもらう事になった……そんな犬や猫なのです。

時間や費用など、愛情や信念だけではどうにもならない事もあります。それらをすべて引っ括めて最後まで飼育する、それが命を養うということなのです。

2.2ペットの為にお金や時間を使うこと

上記のお話と少し被りますが、ペットを飼うという事は今まで自分のために使っていた時間やお金をペットのために使うということです。特に保護犬や保護猫は、分離不安を起こしてしまう子も多く、そうした子を飼うとなれば日常生活のほとんどをペットの為に費やす必要があるでしょう。

決められた時間にご飯を与え、決められた時間に散歩に行き、運動にも気を配ることになります。もちろん、ご飯代やペット用のグッズなどお金もたくさんかかります。オブラートに包まず言うのなら、【自分の時間がないほど忙しい人】や【自由に使えるお金がない】という人はペットを飼わない方が良いです。

2.3多頭飼いの際は先住との相性も重要

既にペットを飼っている状態で、保護犬や保護猫を飼う人は先住しているペット(先住民)との相性も考えなければいけません。先住民とすぐに仲良くなってくれるのが一番ですが、保護犬や保護猫は心に傷を負っている子も多く、飼い主や先住民に心を開いてくれるまで時間がかかります。

飼うと決めた飼い主はともかく、先住民にとってはいきなり家族が増えたようなものですから、困惑してしまう事もあるでしょう。もちろん、悪い事ばかりではありません。良い刺激になって先住民が若返ったという話や、ちゃんと仲良くやっているという話もよく聞きます。

先住民と後住民が仲良くなれるかは、相性もそうですが飼い主の手によるものも大きいです。多頭飼いを選択した場所は、先住民も後住民もちゃんと面倒見てあげてくださいね。

3悪徳団体の見分け方

ボランティア団体の多くは、真摯にペットと向き合い、本当の意味で幸せにしてくれる里親を探してくれています。しかし、極々一部の悪徳団体もいます。悪徳団体と善良なボランティア団体、一体どうやって見分けるべきでしょうか?

実はペットショップと、NPO法人やボランティア団体にはある決定的な違いがあります。それは営利目的か非営利なのか……すなわち【一連の流れでお金を稼ぐかどうか】です。

はっきり言ってしまえば、ペットショップのペットたちは商品であり、飼い主は購入者です。ペットを購入させることでペットショップは利益を出しています。それに対してNPO法人やボランティア団体はペットを商品として扱う事は許されず、譲渡の際のお金も他の保護しているペットたちの為に使わなければいけません。

このため譲渡費用そのものは無料である必要があり、かかるお金は医療費などの飼い主が負担すべきもののみ。団体の中には寄付金をお願いしている場所も多いですが、これも強制ではなく任意です。

【引き取りには費用がかかる?】で解説した10,000円〜50,000円を超える場合や、そうでなくても金額が高いと感じる場合は金額の内訳をちゃんと聞きましょう。移送費や交通費、寄付金は相談されない限り、一方的に請求される事はありません。また、医療費も可能な限り明細書の開示を要求しましょう。

4保護犬や保護猫との上手な接し方

保護犬や保護猫の多くは、去勢・避妊手術を受けていない大人の子です。そして、大なり小なり心に傷があり、人を警戒したり分離不安を起こしているなど【気にしなければいけない部分】を持っています。もちろん彼らも好き好んで飼い主に迷惑をかけたいわけではなく、むしろそうならざるを得ない事態を招いたのは私たち人間です。

人間が付けてしまった傷を、同じ人間である里親がゆっくりと治していく……それが保護された犬や猫にとっての幸せへと繋がっていきます。その中で【費用】【時間】【先住民との相性】など様々な問題が襲ってくるかと思いますが、一度飼うと決めた以上は今度こそ保護犬や保護猫が笑顔でいられる生活を送れるよう努めてくださいね。

天国への扉コラム