本当はかかりやすい猫の病気3つとその対策を解説

ふてぶてしい態度と気分屋なところが愛らしい猫ですが、実はその態度とは裏腹にとっても繊細な一面も持ち合わせています。あまりストレスを与えてしまうと胃腸炎になってしまうことも。その他にも、猫は水をあまり積極的には飲まないため、腎臓病などの病気にもかかりやすいです。

そこで今回はそんな猫がかかりやすいとされる病気とその対策を3つほど解説していきます。

目次

1猫がかかりやすい病気その1【慢性腎臓病】

慢性腎臓病は猫の宿命とも言える病気の一つで、特に更年期に入った猫が発症しやすいです。早期発見、治療をすることで生活の質を落とさずに過ごせるのも特徴。

ここではそんな慢性腎臓病について解説します。

1.1慢性腎臓病ってなに?

慢性腎臓病は慢性腎不全とも呼ばれる病気で、腎臓の機能がうまく働いていない状態のことを指します。腎臓は通常、体の中に流れる血液をろ過して老廃物や毒素を尿と一緒に体の外へ排出してくれる役割を持っています。慢性腎臓病はその働きがうまくいかなくなる病気ということですね。

血液がろ過されないと老廃物や毒素がどんどん溜まっていき、吐き気や頭痛など体に様々な不調をきたします。また、これは腎臓病に限った話ではありませんが、一度死んだ細胞は変わることがないため、病気が完治せず、治療も進行を緩やかにしたり、生活の質を維持することしかできません。

慢性腎臓病は老年期に突入した猫が特に発症しやすく、猫の死因の3割を占めています。ただし、早期発見できた場合は病気の進行を緩め、生活の質もさほど落とさずに老後を過ごせることも多いです。

慢性腎臓病になった猫の余命は平均するとおよそ770日程度だとされており、細かく見ていくと比較的症状の軽いステージ2までは1150日程度、症状が重くなるステージ3では778日程度。集中治療が必要なステージ4では100日程度と言われています。

1.2慢性腎臓病の症状

慢性腎臓病の恐ろしいのは、初期症状である多飲多尿が見られた時点で全腎機能の25%しか生き残っていないところ。さらにその段階でも、猫が変わらず元気でいることも特筆すべき点でしょう。そのため、早期発見が難しい部類に入り、定期的な健康診断が大切です。ではここからは、ステージ別に詳しい症状を見ていきましょう。

・ステージ1

無症状の段階。傍目から見ても何も問題ないようにみえますが、この段階ですでに腎機能は33%しか生き残っていないと言われています。尿検査や腎臓の検査によって早期発見できます。

・ステージ2

無症状、もしくは初期症状として多飲多尿が見られます。腎臓がうまく働かないために、尿の中の老廃物や毒素を濃縮できず、たくさん飲んでたくさん出さなければ排出できなくなっているため。この段階では腎機能が25%ほど生き残っており、猫も元気であることが多いです。再生治療によって病気の進行を緩やかにできます。

・ステージ3

体の中を巡る血液に老廃物や毒素が溜まり、尿毒症という病気が発症する段階です。主な症状として、食欲不振、吐き気、頭痛、むくみ、動悸が見られます。腎機能は10%を下回るようになり、猫も元気を失っている状態です。再生治療による病気の進行を抑えると共に、生活の質を維持することも重視するようになります。

・ステージ4

尿毒症が深刻化し、集中治療しなければ生命維持が困難な状態です。

このように、なるべくステージ1かステージ2で発見したいところですが、いずれも軽度の症状や無症状であることが多いため、早期発見が難しい状態です。だからこそ、定期診断と飼い主による体調チェックが重要になってきます。

1.3慢性腎臓病にならないためには

猫の祖先は砂漠で暮らしていたこともあり、猫はあまり水を積極的に摂取しようとしません。そのため普段から腎臓の負担も大きく、腎臓病にもかかりやすい動物です。特に高齢期に入った猫は体の衰えもあり、腎臓病のリスクは避けられないと言っていいでしょう。

慢性腎臓病の対策としてはやはり病気の早期発見と日々の健康的な生活を心がけることが一番です。定期的な健康診断、そして飼い主様が普段から愛猫をよく観察し、何か異常があればすぐに動物病院で診察を受けさせるよう心がけてください。

食事はとにかく年齢に合わせた食事とこまめな水分補給を意識し、腎臓への負担を減らすよう努めてください。水をあまり飲みたがらない場合はウェットフードなど食事と水分補給を一緒にできるようにしたり、猫の歩く道に水分補給できる場所を数カ所設置するなどの対策も必要です。

2猫がかかりやすい病気その2【尿路結石】

尿路結石は【出産の次に痛い】とも言われており、そのサイズは大きいもので0.5mm程度にまでなります。そんな尿路結石ですが、実は猫もできてしまう可能性があるのです。

ここでは尿路結石について解説します。

2.1尿路結石ってなに?

尿路結石とは尿路、すなわち腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかに結石ができてしまっている状態のこと。そのため、尿道が長いオス猫が特に尿路結石になりやすいため注意が必要です。また、オス猫だけでなくメス猫であっても尿路結石になりますので、メス猫を買っている場合でも油断できません。

結石の成分にはいくつか種類がありますが、猫の場合はストラバイトとシュウ酸カルシウムの2つがほとんど。そのうちストラバイトは療法食で溶かせますが、シュウ酸カルシウムは溶かせないという違いがあります。

結石は小さい物では目に見えないほどの結晶で、その場合は尿と一緒に流れていくため大事にはなりません。しかし、大きいものは目に言える砂ほどの大きさにまでなり、その場合は尿道を塞ぎ、物理的に尿をせき止めてしまい、その状態のことを尿道閉塞と言います。

尿道閉塞になると、尿が排出できないために膀胱が破裂してしまったり、腎不全の原因にもなるなど、大変危険な状態です。場合によっては命も危なくなるため、普段からの対策と早期発見が肝要となってきます。

2.2尿路結石の症状

尿路結石はその名の通り、尿道に石ができるため、症状やサインも尿や腎臓を中心としたものになってきます。例えば、トイレの回数が多いのにも関わらず尿の量が極端に少ない、トイレでおしっこする時にうずくまって痛そうにしている、血尿が出る、粗相が多いといった状態は尿路結石の典型的なサインです。

また、尿を観察した時にキラキラと結晶が見える時は、ほぼ間違いなくそれが尿路結石です。結石はやがて尿路の中で大きくなり、食欲不振やお腹が痛そうにしているなどの症状が現れ、1日中尿が出せないと尿毒症を発症してしまいます。

尿毒症になって治療をしない場合、3日経過すると命に関わるほどの大事になってしまいます。もし少しでも尿路結石のサインが見られた際は早急に動物病院で診察を受けさせましょう。

2.3尿路結石にならないためには

尿路結石は尿が物理的にせき止められてしまい、様々な不調を招く病気です。言い換えれば、ちゃんと尿を沢山出し、健康に気を使っていれば大きな結石を作ってしまうことはありません。尿路結石は一度発症すると再発しやすいため、普段からの予防と対策が肝要です。それでは具体的な対策を【食事】【水分】【運動】の3点から見ていきましょう。

・食事

結石は主にミネラル過多など栄養価の方よりによってできます。ミネラルバランスを意識し、尿のpHをコントロールしてくれるキャットフードを選びましょう。

・水分

水分をたくさん摂取し、たくさんおしっこすることが大切です。ウェットフードにする、新鮮な水を入れたボウルを数カ所に設置して、猫がいつでも水を飲めるようにするなどの対策を行いましょう。

・運動

運動せず肥満になると、尿道が脂肪によって圧迫されます。そうなると、小さな結石でも尿道を塞いでしまうため大変危険です。肥満状態にならないよう、適度な運動で体型を維持させるようにしましょう。

3猫がかかりやすい病気その3【胃腸炎】

人間でも、特に神経質な人がかかりやすい胃腸炎。実は繊細な猫も胃腸炎になりやすい動物なのです。軽度なものであればすぐに治まりますが、慢性化すると厄介な一面も……。

ここでは猫の胃腸炎について解説します。

3.1胃腸炎ってなに?

胃腸炎とは、なんらかの要因で胃の粘膜が炎症を起こし、様々な不調を引き起こしている状態です。胃腸炎には急性と慢性の2種類があり、症状自体にはさほど違いはありませんが、急性胃腸炎は2〜3日程度で治るのに対し、慢性胃腸炎は長期間に渡って症状が続きます。

急性胃腸炎の場合、軽度であれば猫も食欲や元気がいつも通りであることが多く、あまり深刻に捉えなくても大丈夫です。一方で慢性胃腸炎は長期間症状が続くため、猫もだんだんと元気を失っていき、脱水症状に陥ることがあるため危険です。

後項でも解説しますが、胃腸炎の主な症状は下痢や嘔吐です。これらの症状は他の病気でも起こり得る典型的なものですので、自分で決めつけずに早めに診察を受けさせましょう。

3.2胃腸炎の症状

前項で触れたとおり、猫の胃腸炎には急性胃腸炎と慢性胃腸炎の2種類があり、それぞれ症状はあまり変わりませんが、猫の体調など異なってくる場所もあります。順に見てきましょう。

・急性胃腸炎

主に下痢や嘔吐が見られ、軽度であれば猫の食欲や元気は良好なままです。2〜3日程度で症状が治まることが大半で、経過観察で問題ありません。重症になった場合は下痢に血が混じったり、食欲減退や腹痛なども起き始め、そのまま慢性胃腸炎になることもあります。

・慢性胃腸炎

主に下痢や嘔吐が長期間にわたって見られます。そのため、場合によっては脱水症状に陥ったり、体の免疫浴が低下することで様々な病気が併発するリスクがあります。体力も徐々に落ちていくため、早めに診察を受けさせないとぐったりして動かないケースも出ています。

3.3胃腸炎にならないためには

猫が胃腸炎になってしまうのは、主に食事面とストレス面が原因です。それぞれに求められる対応がありますので、順に解説していきます。

・食事面

食事面では、普段食べ慣れていないものや油分を多く含んでいる食べ物を食べた時に胃に負担をかけてしまって胃腸炎になります。市販のキャットフードを適切な量与えることを心がけ、手作りごはんを与える際は事前に獣医師や動物専門の管理栄養士に相談しながら作ることを意識しましょう。

・ストレス面

猫は実はとても繊細な生き物で、引っ越したり知らない人が訪問してくる、ペットホテルに数日間預けられるといった猫にとって非日常的なことに敏感に反応します。その結果、ストレスが溜まってしまい、胃腸炎となるのです。引っ越しをしたら暫くは猫と一緒にいる、猫の健康状態は常にチェックしておくなどを心がけましょう。

4猫は泌尿器の病気が多い

猫の祖先は砂漠で生まれ、砂漠で生きていました。そのため、猫は普段からあまり水を飲まず、常に腎臓に負担をかけてしまっています。腎臓や尿に関係する病気が多いのは、そういった古くから受け継がれている遺伝子によるものなため、根本から改善することは困難です。

水を飲まない分はウェットフードで補ったり、気分次第でいつでも飲めるように水場を複数確保するなど、ある程度飼い主側が対策をする必要があるでしょう。可愛い愛猫の健康のため、今回解説したことを実践して素敵な毎日を過ごせるようにしていきましょう!

天国への扉コラム