犬のフケが出る原因や病気の可能性について

フケは不潔な印象がありますが、もともとはただのターンオーバーによって剥がれた角質であり、少しくらいのフケはなんら問題ありません。しかし、それが過剰に出るのであれば、何か皮膚トラブルが起きているかもしれません。

今回は犬のフケが出る原因や予防法についてお話していきます。

目次

1犬のフケが出る原因

犬のフケは病気だけでなく、ストレスや皮膚への負担でも増える事があります。まずはフケが増える原因について見ていきましょう。

1,1ストレスを溜めている

人がストレスが原因で体調を崩すように、犬もストレスを溜めすぎると体の免疫力が低下して不調をきたします。その結果、皮膚炎やアレルギーなどの皮膚トラブルを招きやすくなり、それが原因でフケが増えてしまうことがあります。

ストレスが溜まった時に見られるサインには、フケ以外でもあくびが多かったり、体を震わせたりなどが見られます。また、ストレスが溜まりすぎてしまうと、攻撃的な性格になったり、下痢や嘔吐を引き起こす事もあります。

もしこれらのサインが見られるようでしたら、ストレスを解消させる環境作りや散歩の道中にストレス要因がないかなどを意識しましょう。

1,2皮膚が乾燥している

フケというのは、そもそも皮膚の表面にある角質が剥がれたものです。本来はそんなに剥がれるものではないですが、乾燥していると皮膚のターンオーバーのサイクルが乱れてしまい、過度にフケが出てきてしまいます。

犬の皮膚は人間の皮膚よりも遥かに薄く、そのため水分が蒸発しやすいとされています。私たちも、季節の変わり目や冬の乾燥した時期はフケが増えがちです。人ですらそうなのですから、それよりも繊細な皮膚を持つ犬はもっと気を付ける必要があります。

特に冬は暖房器具を使うために乾燥しやすく、しっかりとした湿度管理をしなければいけません。

1.3過度なシャンプーやスキンケア

皮膚トラブルを防ぐためだからと、誤った方法でシャンプーやスキンケアをしていると、かえって皮膚に負担をかけてしまいます。特に多いのが、過度にシャンプーをしてしまうことです。

確かに汚れが溜まっている皮膚は不衛生ですが、適度な皮脂は皮膚を守るために必要なものでもあります。シャンプーを1ヶ月に何度もしてしまうと、その必要な皮脂までも洗い流してしまい、むしろ皮膚トラブルを引き起こしやすくなります。シャンプーは月に1〜2回程度に留めておきましょう。

また、シャンプーの液にも注意が必要です。体に合わないシャンプーも皮膚トラブルの要因になります。特に薬用シャンプーは目的によって適切なシャンプーが異なるため、使用する際は獣医師に相談の上、何か問題があればすぐに使用を中止してください。

2犬のフケを予防する方法3選

ここからは具体的な予防法について見ていきましょう。

2,1丁寧なブラッシング

ブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、皮膚をマッサージして血行を良くしてくれる効果もあります。丁寧なブラッシングは皮膚を健康なものへと変えてくれるのです。

ブラッシングする際は、『適切なブラシ選び』と『ブラッシングの方法』が重要です。

万能なスリッカーブラシをはじめ、毛を伸ばすのに使うピンブラシやマッサージ効果を期待できるラバーブラシなど、愛犬にあったブラシを選びましょう。

ブラッシングは『毎日』『根本から』『皮膚を傷つけないように』を意識するのがコツです。また、短毛種の場合は毛並みに逆らってブラッシングを、長毛種の場合は毛並みに沿ってブラッシングするようにしてください。ただし、毛並みに逆らうのは犬によっては不快感に繋がるため、無理をさせすぎないように。

2,2保湿ケア

乾燥はお肌の天敵、それは犬でも変わりません。皮膚の乾燥が原因でフケが出ている場合は、しっかりとした保湿ケアが大切です。特にシャンプーした後や散歩した後は皮膚が乾燥しやすい環境になっていますので、場合によっては保湿剤の使用も視野に入れましょう。

また、部屋が乾燥している場合は湿度管理を見直す必要があります。冬はストーブやエアコンを多用し、空気が乾燥しやすくなっています。これらの暖房器具を使用する際は、加湿器や空気清浄機などの器具で適切な湿度に調整しましょう。

2.3適度なシャンプーやスキンケア

先述したように、過度なシャンプーやスキンケアは皮膚トラブルの原因になります。獣医師の指示など特別な理由がない限り、月に1〜2回を心がけましょう。

シャンプーの液は愛犬の皮膚やシャンプーの目的によって変えた方がいいですが、基本的には『低刺激』『無香料』『アレルギーがないかどうか』は意識する事をおすすめします。

理由としては低刺激は見たまま、体からシャンプーの香りがすると嫌がるので無香料、アレルギー持ちはアレルギーの有無を確認する事が大切なためです。

3犬のフケが関係する病気

皮膚トラブルには、何らかの皮膚病が関係している事もあります。今回はその中でもよくある皮膚病や、危険な感染症について見ていきましょう。

3,1脂漏症(しろうしょう)

脂漏症とは読んで字の如く、過度に皮脂腺の分泌されたり、そのせいで皮膚のターンオーバーが狂ってしまう状態のことです。その結果、皮膚がベタベタしたり、反対にカサカサしてしまいます。また、ターンオーバーのサイクルもおかしくなっているため、フケも増えます。

また、脂漏症はマラセチアという酵母が異常に増えることによる皮膚炎や、細菌感染、外耳炎も併発して起きる事が多いのも特徴です。

脂漏症は遺伝も含めた体質によるところが多いため、残念ながら明確な予防法はありません。とにかくバランスの良い食事と適切な飼育環境を心がけ、また脂漏症と判断された場合はシャンプーなども気を配るようにしましょう。

3,2皮膚炎(ひふえん)

犬は皮膚がデリケートである事はお伝えした通りですが、そのために皮膚炎にかかる事が多いです。特に代表的なのが『ツメダニ皮膚炎』と『アトピー性皮膚炎』の2つ、順に見ていきましょう。

まずツメダニ皮膚炎。ツメダニはダニの仲間で、室内に生息する肉眼では見えないほど小さな虫です。普段は噛んだりしないのですが、ぶつかったり衝撃を与えるなどすると噛み付いてきて、それが原因となって皮膚炎を起こすことがあります。ツメダニは主に畳やじゅうたん、ふとんなどの寝具に捕まって暮らすため、普段から掃除機による掃除を心がけておくのが大切です。

次にアトピー性皮膚炎。これはもともと反応しやすい犬(アトピー)が、空気中に漂うダニやその糞、花粉などのアレルゲンに反応して皮膚炎を引き起こすというものです。脂漏症と同じく遺伝に関与する部分が大きく、特に柴犬、フレンチブルドッグ、シーズーなどに多くみられます。アトピーはあくまで『体質』であるために、完治はとても難しいです。従ってアトピーとどう向き合い、それをサポートするのかが重要になってきます。

3,3疥癬(かいせん)

あまり見られない漢字だと思います。これは『かいせん』という病気で、ヒゼンダニというダニが、犬の表皮に潜り込む事で発症します。

ヒゼンダニは幼虫の時は皮膚の上やじゅうたんなどに隠れて過ごし、成虫になると交尾してメスは皮膚に侵入してトンネルを掘り進み、その道中に卵を植え付けます。その間に疥癬を引き起こさせるのです。疥癬は軽度であっても激しい痒みに襲われる他、重篤なものだと免疫不全を起こす事もあります。

皮膚に何か異常があれば、疥癬でなくても皮膚病の可能性が十分にあるため、必ず病院で診療を受けてください。

4犬のフケが出る理由

今回お話ししたように、犬のフケが出る原因そのものは『皮膚に異常がある場合』です。しかし、その皮膚に異常が出る理由そのものは様々であり、場合によっては何か皮膚病を発症している可能性も考えられます。

毎日の予防と室内環境の徹底はもちろんですが、犬が痒がっている場合はすぐに動物病院に向かう事も大切です。

天国への扉コラム