犬や猫の耳ダニの症状や対策について

犬や猫があまりに耳を掻いている、耳垢が異常に出ている場合は耳ダニ症になっている可能性があります。耳ダニ症はちゃんとした治療をすれば完治しますが、逆に言えば治療しないと治ることがありません。酷くなると、他の感染病にかかりやすくなったり、耳の中が膿んでしまう可能性もあります。

今回はそんな耳ダニ症の詳しい症状や、効果的な対策についてお話していきます。

目次

1犬や猫の耳ダニってなに?

耳ダニとはそもそもどういったダニの事を指すのか、どういった経路で感染するのか、まずはそこから知っておいた方がいいでしょう。また、飼い主としては人に感染するのか否かも気になるところですよね。

ここではそんな耳ダニの基本的な部分について見ていきましょう。

1.1ミミヒゼンダニによって起きる病気

犬や猫の耳ダニ症は、そのほとんどがミミヒゼンダニ(耳ダニとも)に寄生される事で発症する耳疥癬によるものです。ミミヒゼンダニが寄生し、皮膚の表面をかじるために強いかゆみが出るほか、血液を吸われれば強いアレルギーを引き起こす事があります。

ミミヒゼンダニは0.3〜0.5mm程度の大きさしかないため肉眼では見えづらく、犬や猫が痒がっていたからと動物病院で診てもらったら耳ダニ症だったというパターンが多いです。特に子犬や子猫に感染しやすく、黒っぽい耳垢が多かったり、あまりに耳を掻いていたら、この耳ダニ症を疑ったほうがいいでしょう。

1.2ミミヒゼンダニの感染経路

ミミヒゼンダニは親から子への感染の他、既に感染している犬や猫との接触、成虫や卵が潜んでいる道具や敷物から感染するケースが主な感染経路です。

このダニは耳の入り口である外耳道に寄生し、皮膚の表面をかじって卵を植え付けます。卵は4日程度で孵化し、その後成虫になるまでの3週間を耳の中で過ごします。つまり、その生涯を寄生したペットの耳の中で過ごすわけですね。

ただ、犬や猫も痒がって耳を掻いたり、頭を振ったりしますよね。その時に卵やダニが周りに飛び散り、それが他のペットや近くにある家具に落ちて……というサイクルで被害が拡大します。

1.3ミミヒゼンダニは人に寄生するのか

ミミヒゼンダニは周りに飛び散るというのは先述した通りですが、一方で人には寄生するのでしょうか?

結論から言えば、ミミヒゼンダニは人に寄生する事はありません。ただ、人の耳に飛び散ったり、ダニが人の耳に入り込む事はあります。その場合は痒みや軽い炎症が起きる可能性がありますが、一過性のものですので時間が経てば症状は治まります。

なら安心……とは言えません。寄生しないとはいえ症状が出る、そして犬や猫には寄生するという事は、『根本を解決しないと症状が続く』可能性があります。そのため事実上、感染しているペットの治療が済むまでは、人の症状が治まらない可能性が高いです。

2犬や猫の耳ダニの症状と治療法

耳ダニ症は放置してしまうとただ痒いだけでは済まない事に発展します。また、そうでなくてもずっと痒そうにしているペットを放置する事はできないでしょう。

ここからは本格的に症状や治療法について見ていきます。

2.1耳ダニの症状

ミミヒゼンダニに感染すると、猛烈な痒みに襲われます。これはダニが耳の中で動いたり、表面をかじってしまうからですね。そのため、足でしきりに耳を引っ掻いたり、ブンブンと頭を振ります。

また、茶褐色や黒い耳垢が大量に出てくるのが特徴です。これはペットの皮膚や血液、ダニの糞などが固まってできたもので、耳掃除をしたとしてもすぐに増えていきます。他にも症状が酷かったり、長く続いてしまうと耳の皮膚が腫れたり、炎症が酷くなる事で細菌感染のリスクが高まります。

2.2耳ダニの治療法

耳ダニ症を治療する場合、ほとんどが駆虫薬でミミヒゼンダニを一掃する方法です。駆虫薬はスポットタイプと呼ばれる物を使用し、肩付近の皮膚に滴下します。1回だけでは全滅させる事が難しい時は、隔週毎に数回東予させる事もあります。

その他、獣医師がペットの耳掃除をして物理的に除去する方法もあります。

ミミヒゼンダニの治療自体は誤った方法を取らない限り、ちゃんと完治します。ただ、耳垢からダニや卵を検出する都合上、『耳垢が少ない』『耳垢にダニが潜んでいない』などの場合は発見が遅れてしまう可能性があります。

動物病院で治療しても症状が続く場合は、再度病院で検査してもらいましょう。

3犬や猫の耳ダニ対策

症状や治療法が分かったところで、今度は具体的な対策について見ていきましょう。

3.1犬や猫が密集するイベント

ミミヒゼンダニは既に感染している犬や猫を経由して感染してしまうケースが多いです。つまり、やや強引な言い方をすれば『動物が密集した場所に行かない』事で対策する事はできます。

ただ、完全室内飼いの猫はともかく、犬は散歩したり外でのイベントが多いため、そういった対策が困難です。その場合は、帰ったら耳を綺麗にするのを忘れないようにしましょう。

3.2耳が蒸れないようにする

耳が蒸れてしまうと、ダニが繁殖しやすい環境になったり、症状が悪化してしまいます。たれ耳の子や耳の中まで毛が生えている子が外耳炎になりやすいのは、こういった要因があるのです。

また、シャンプーや水遊びなどで水が入ったら頭を振って水を出そうとしますが、奥まで水が入っていたり、耳の中に毛が生えている子は水を完全に出す事が難しくなります。この場合も耳が湿ってしまうため、同じく危険です。

対策としては、たれ耳の子は定期的に耳の中をチェックしたり、耳の中に毛がある子はトリミングなどで毛を抜いて貰うのが有効的です。

3.3耳のケアの仕方について

犬や猫の耳は、人の耳よりも遥かに繊細です。耳垢があるからと耳の中まで綿棒で耳かきしようとすると、皮膚を傷つけてしまったり、かえって状態を悪化させてしまう可能性があります。最悪の場合、ペットが耳掃除を嫌がって動いてしまい、耳の奥まで綿棒を突いてしまう事もありえます。

個人で耳のケアをする場合は、耳の状態をチェックしたり、水で軽く湿らせたガーゼで耳の表面を拭く程度にしておきましょう。本格的な耳の掃除は動物病院や、耳掃除をしてくれるペットサロンなどにお願いする事をおすすめします。

また、意外とやってしまいがちなのが『健康な状態の耳を洗浄剤でケア』してしまうこと。洗浄剤はあくまで耳垢などをきれいにするもので、皮膚そのものには有害な薬品です。最悪の場合、それが原因で外耳炎になる事もありますので、必ず事前に動物病院で相談しましょう。

3.4耳ダニに注意したい品種

『耳が蒸れないようにする』でもお話しましたが、耳ダニは犬や猫なら少なからずみんな感染してしまう可能性があります。特に感染しやすいのが、耳がたれている子や耳の中に毛が生えている子などの『耳が蒸れやすい品種』です。

分かりやすく言えば外耳炎になりやすい子が、そのまま耳ダニ症になりやすい子だと言えますね。猫は品種によって〜というものはあまりありませんが、犬はブルドッグやトイ・プードルのような品種が発症しやすいです。

4犬や猫が耳を痒がったら

犬や猫に限らず、耳に違和感があったら掻いてしまうのが動物の性です。外耳炎や耳ダニ症でなくても、例えば埃が入ったりしても耳を掻く事があるでしょう。流石にその度に病気を疑ったりするとキリがありませんし、痒がっている様子を見れないと危険に気づく事ができません。

痒がっているからといって動物病院に行くというよりは、定期的に診断してもらったり、自身で耳の状態をチェックする事が大切です。耳垢が多かったり、痒そうな様子が続く場合はちゃんと動物病院で診てもらいましょう。

天国への扉コラム