猫の肉球は何のため?可愛さの裏に隠された役割とケア方法について

プニプニとした独特な感触と、猫によって異なる様々な色が魅力的な肉球。猫のグッズには必ずといっていいほど肉球のデザインがあり、もはや猫のトレードマークといっても過言ではありません。

そんな肉球ですが、実は猫にとっては狩りや日常生活においてとても重要な役割を果たす部分でもあります。そのため、とてもデリケートな一面も持つ肉球のケアは飼い主の大切なお仕事です。

今回は肉球の役割や適切なケア方法について解説していきます。

目次

1実は重要な肉球の役割

肉球のプニプニとした感触は数々の飼い主を魅了していますが、その感触こそが猫の生活を支える基盤となっています。まずは肉球の構造や役割について見ていきましょう。

1.1肉球の構造

猫の肉球を見たいとき、ほとんどの人は前足のを見るかと思います。しかし、実は前足と後ろ足で微妙に構造が異なることは知っていましたか?

前足は足の中心にある掌球(しょうきゅう)、親指に該当する狼爪を含めて指の本数分の5つある指球(しきゅう)、人間でいうところの手首にある手根球(しゅこんきゅう)の累計7つの肉球があります。

それに対して後ろ足は足の中心にある足底球(そくていきゅう)、後ろ足には狼爪がないため計4つの指にある趾球(しきゅう)の累計5つの肉球で構成されています。

また、肉球の下部は脂肪をたくさん含んだ弾性繊維が網目状になっており、それを厚い角質で覆っています。プニプニとした独特の感触は、こうした構造をしているからです。

1.2肉球の役割その1~狩り~

猫を含めて【肉食目】と呼ばれる動物は、狩りをする事で日々を暮らしています。しかし、敏捷性がウリである猫であっても、ただ走って獲物を捕まえられるかというとそうはいきません。ギリギリまで敵に悟られずに接近する必要があります。

そこで役に立つのが肉球。弾性繊維の肉球がクッションの役割をしており、足音を消して移動できます。更に猫は爪を収納できるため、本当に足音がしなくなります。これによりギリギリまで音を消して歩き、獲物に近づいた瞬間に持ち前の敏捷性で獲物を狩る事が可能となったのです。

1.3肉球の役割その2~センサー機能~

犬も猫も、物体を確かめる際にチョイチョイと手でつつきますよね。肉球は手足の中でも唯一体毛に覆われておらず、一番敏感な部分です。肉球がセンサーの役割を果たすことで、物体が危険なのか、熱いのか冷たいのかなどを判断できます。

しかし、センサーであるがゆえに傷ついたり、火傷しやすく、痒みや痛みも敏感に反応してしまう欠点も持ち合わせています。肉球をケガをした時によく傷口を舐めてしまうのは、それだけ猫が違和感を感じているということです。

1.4肉球の役割その3〜体温調節〜

汗を出す器官には、脂っぽい汗を分泌するアポクリン腺と、サラサラとした汗を分泌するエクリン腺の2種類があります。人間や馬などの動物は全身にエクリン腺があるため、汗をかくことで体温調節ができます。

一方、犬や猫の場合、エクリン腺はごく一部の場所にしかありません。そのごく一部のエクリン腺がある部分というのが肉球です。猫は全身を舐めたり、肉球から汗を出す事で体温調節をします。猫は寒さに強くても、暑さには弱いというのはこうした理由があるからなのです。

その代わり、人間には脇などの一部しかないアポクリン腺が、犬や猫には全身に発達しています。体臭の原因にもなるこの線ですが、一方でこれがフェロモンとしての役割を果たしています。

2肉球のケア方法とケガした時の対処

肉球は体毛に覆われていないため、ケガや火傷に弱いです。野良猫や昔から放し飼いされていた猫は肉球の角質も厚く丈夫ですが、室内で暮らす猫はそうはいきません。大切な肉球を守るためにも、適切なケア方法と万が一傷ついた時の対応について解説します。

2.1室温管理と保湿は入念に

猫は完全室内飼いが基本的なため、外の環境に左右されることはありません。しかし、当然その分室内の環境を整えなければいけません。特に肉球は乾燥にとても弱く、湿度管理をしてないとカサカサになってしまい、ひび割れを引き起こします。部屋の室温管理はもとより、日頃から保湿クリームで丁寧なケアを心がけましょう。

保湿クリームは無香料かつ猫、又はペット用のクリームがおすすめ。特に人間用のクリームは、人間にとって有効な成分や落ち着く香りを含んでいる物が多く、それが猫にとって毒となる可能性が高いです。ペット用のクリームは、ココナッツオイルやオリーブオイルなどの自然由来の成分で作られているため、猫も安全に使用できます。

保湿クリームを塗る際は量にも注意。油分を含んだクリームを大量に塗ってしまうと、肉球が滑り止めとしての役割を果たせないため、猫が転んでしまうことがあります。

2.2ケガや火傷した時の対応

室内飼いの猫は、外と違って肉球を深く傷つけてしまうような事はあまりありません。しかし、稀に割れたガラスの破片や観葉植物のトゲなどで肉球を切ってしまうことがあります。

もし傷が浅い擦り傷程度の場合は、傷口をきれいにしてワセリンや保湿クリームを塗って保護しましょう。万が一治らない場合や深い傷だった場合は、すぐに動物病院で診察してください。

厄介なのは火傷のほう。特に冬はストーブやこたつなど、火傷の元となる家具がたくさん出てきます。もし肉球が火傷してしまったら、すぐに患部を冷やしつつ動物病院に連れて行きましょう。その際、水ぶくれは決して潰さないように注意してください。

2.3一番は室内で飼うこと

たまに猫を外に放し飼いにする飼い主がいますが、これはあまりおすすめできません。小さい頃から徐々に訓練して、肉厚な肉球が出来上がっている猫なら問題ありませんが、そうでないのなら肉球はとても繊細かつ傷つきやすい部分です。

室内は鋭い石も無く、火傷してしまうほど熱い地面も凍えてしまうほど冷たい地面もありません。また、不慮の交通事故に見舞われる事もないです。それでもどうしても外で飼いたい場合は、ちゃんと小さい頃から外に慣れる訓練をしておきましょう。

3大切な肉球を守ろう!

飼い主や愛猫家からすれば肉球はただ可愛いだけのものですが、猫にとっては日々の生活を支えるとても重要な部分です。万が一ケガしたり、火傷してしまうと治りづらいため、適切なケアが欠かせません。冬は特に乾燥や室内での火傷が多くなる季節です。湿度管理と保湿クリームによる保湿ケアを忘れずに、大切な肉球を守り抜きましょう。

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