老犬の夜泣きを無くす方法や周囲への配慮について

犬を飼っている人にとって一度は体験することになる夜泣き、多くは赤ちゃんの頃とシニア犬になった時が酷くなります。愛犬がいくら可愛いとはいえ、夜泣きは自分の負担はもとより住民とのトラブルの要因にもなりかねません。なにより、ずっと悲しそうに泣いている愛犬の事を考えると、そのまま放置するわけにはいきませんよね。

年齢に限らず、夜泣きするのにはちゃんと理由があり、解決できたり頻度を減らす事は可能です。「シニア犬だから仕方ない」と諦めずに、しっかり向き合っていきましょう。今回は老犬の夜泣きについて、理由や対処法、起こりえるトラブルについて解説していきます。

目次

老犬が夜泣きする理由

夜泣きはあくまで犬から飼い主様への要求行動や感情表現の一つです。従って、夜泣きする理由も様々で決して一貫性があるとは限りません。それでも、日常生活からある程度要求する理由を絞る事はできます。

ここでは老犬が夜泣きする主な理由について解説します。

夜泣きは感情表現の一つ

冒頭でも触れたとおり夜泣きはあくまで感情表現の一つであり、必ずしも病気や怪我の類とも限りません。もともと何か理由があれば犬は要求のために飼い主様に呼びかけますし、その時間帯が昼ではなく夜になっただけです。

また、人間がそうであるように犬も年齢によって感情のコントロールが難しくなってきます。今まで我慢していた事や流していたことでも不安になったり、嫌な感じになってしまうのです。「今までは何ともなかった」と言って夜泣きを無理に押し込ませるとストレスになってしまうため、ちゃんとした理由を見つける必要があります。特にご飯の時間など、年齢によって前後するものに対しては徐々に調節していくよう意識しましょう。

認知症の可能性

シニア犬=認知症というわけではありませんが、それでも密接に関わっていることは事実です。感情のコントロールもそうですが、直前の行動や目的を忘れてしまい、不安から泣く事もあります。また認知症はあくまで脳の記憶機能不全によるもので、加齢によるものではありませんので混同しないようにしましょう。

認知症による昼夜逆転の生活も夜泣きに深く関係しています。日中に寝て夜中に起きるため、自律神経が狂ってしまい、昼間の要求がそのまま夜に移行するのです。認知症にはそれ以外にも、粗相を繰り返す、ぐるぐると回るなどの無意味な行動を繰り返すなどの行動をする事があるため、認知症か否かの参考にしてください。

痛みや不安などの要因から

最も単純な理由ですが、痛みや不安から夜泣きするものはやはり多いです。例えば痛みが理由であれば加齢によって関節の節々が痛くなって夜泣きしてしまったり、慢性的な痛みから眠れなくて夜泣きしてしまうケースですね。また、日中動かないせいで筋肉が解れず、痛みとなって夜泣きすることもあるようです。

不安からであれば、それは五感が鈍くなったからというのが多いでしょう。視覚や聴覚が鈍くなったことで飼い主様を近くに感じられず、孤独感から夜泣きしてしまいます。日中は生活による音や声があるため、犬も安心できますが、夜中はそれがありません。犬自身は眠れず、飼い主様がいるのか分からないという恐怖感は群れで行動する犬にとってはかなりのものでしょう。

老犬の夜泣きの対処法

夜泣きは別に犬も好き好んでやっているわけではありません。愛犬のためにも飼い主様のためにも、理由を見つけ次第対処にあたりましょう。

ここでは老犬の夜泣きに対する対処法について解説します。

昼夜逆転生活をなおす

まず昼夜逆転生活をしているようなら治す必要があります。夜泣きの理由にもなりますし、自律神経の乱れはあらゆる体調不良の原因にもなりえます。日光には体内時計を整える効果や身体を元気にしてくれる効果があります。

少し可愛そうかもしれませんが、おやつやご飯で気を引かせて朝起こしてあげましょう。そのあと放っておくと二度寝してしまうこともありますので、なるべく目を離さないように、できればスキンシップをして気持ちよく目覚めてもらいましょう。

また時間があれば散歩やボール遊びもしてあげてください。過度の運動はNGですが、適度な運動はいくつになっても必要です。日中に動けば自然と夜眠くなりますしね。ただし、認知症の症状があまりにも酷い場合はスマホで録画して獣医師に診てもらうなどの対策も必要です。

部屋の環境を整える

五感が鈍くなった犬にとって、これまで過ごした部屋が障害物だらけに見える事は珍しくありません。今まで普通に避けていた家具に当たってしまったり、トイレの場所が分からなくなったりなど、目や耳がうまく機能しないがゆえの事故や問題が出てきます。こういった問題は直接部屋の環境を変えるほかありません。

家具の配置はもとより、寝具にも気を配りましょう。シニア犬の寝床は身体を動かした時に何かに当たらないように避けたり、肉厚なクッションにすることで関節の痛みを和らげたりなどの工夫が必要です。またトイレもなるべく近くに置いておくと粗相をする事も少なくなります。

基本的には犬の拠点の近くにものを配置する、トイレへの道に障害物を置かない、ベットをより快適にする事で怪我のリスクを抑えることができます。もし怪我をしてしまった場合は動物病院で診てもらうことはもちろんですが、何が原因で怪我をしたのかをよく観察することも大切です。

年齢にあった世話をする

若い頃に出来た事が今はできない……人間も犬も年齢によって体力がなくなったり五感が鈍くなります。犬の場合は目に見えた変化が感じられないため気づきにくいですが、犬の寿命を考えると老化が突然訪れたと感じても不思議ではないでしょう。「うちの犬はまだ大丈夫そうかな?」と油断することなく、年齢によってある程度目安を付けておいたほうが良いでしょう。

一般的には犬の寿命は10〜13年と言われておりら、高齢期は7歳前後からだとされています。あくまで目安でしかありませんが、これを参考に家具の配置や介護用のグッズなどを揃えておきましょう。また、愛犬の体調や状態をノートやスマホにメモしておくこともおすすめです。最近は家族とも共有できるアプリが増えているので、ぜひ家族と一緒に導入してみてください。

老犬が夜泣きすることで生まれるトラブルと対処法

老犬が夜泣きすることで影響が出るのはなにも家の中だけではありません。音が響く深夜帯に犬の鳴き声がずっと続くようでは周りの人にも迷惑がかかります。その結果、トラブルになってしまうことも……。

ここでは老犬が夜泣きすることで起こりえるトラブルとその対処法について解説します。

住民とのトラブル

自分がそうであるように、近隣に住んでいる方々にもそれぞれの生活があります。ペットを飼っていない人や、日中仕事をして疲れている社会人、最近子供が生まれたばかりの夫婦など。そういった方々にとって何も事前連絡がないまま夜中に犬が吠え続ける家は迷惑でしかないですし、トラブルに発展しても文句は言えません。

そういった事にならないよう、もし夜泣きの傾向があれば早い段階で近隣住民に連絡と謝罪をしておく事が飼い主の責任です。どうしても連絡できない場合は自治体に相談するのもいいでしょう。とにかく周りに周知させることは大前提です。

何も言ってこないならともかく、事前に連絡さえしていれば周りもそんなに怒ることはないでしょう。可能であれば「夜泣きさせないように〇〇しておきます」というように、夜泣きの対処法も一緒に伝えておくと近隣住民も安心できます。

飼い主の負担

夜泣きの影響は当然飼い主様の負担になります。深夜帯に泣かれては寝不足の原因にもなりますし、なにより愛犬が夜泣きしていては満足な生活を送る気力もないでしょう。今回の記事は夜泣きの対処法について解説していますが、手を尽くしても夜泣きが止まないことだってあります。

そういった場合はただ諦めるのではなく、獣医師に相談したり、デイケアや老犬ホームに依頼することも考えましょう。飼い主様からしてみれば最後まで自分が責任を持ちたいと思うかもしれませんが、こういったサービスを使うことは大切です。彼らはこういった事のプロですし、夜泣きが落ち着いてきたら改めて飼い主様がお世話する事もできます。

なにより大切なのはペットと飼い主様が不自由なく一緒に過ごすこと。そのために出来ることは何でもするという意識が大切です。あくまで自分の負担も考慮に入れながら愛犬のためになることをしてください。

老犬も苦しんでいる

先述したように老犬の夜泣きは感情表現の一つであり、ある程度の理由がある事が多いです。つまり、それをただ押さえ込もうとするのは却って逆効果ですし、原因を突き止めて解決しない限りはいつまた夜泣きするか分かりません。

夜泣きをするということは当たり前ですが夜に寝れていないということでもあります。ちゃんと寝れないと体調を崩すのは犬も同じですし、それによって精神が不安定になることだってあります。そして夜泣きを解消するには飼い主様の協力が必要不可欠なのです。

毎日愛犬を観察し、何か違和感がないかを確認して夜泣きの理由を探してください。

夜泣きは誰にとっても解決したい問題

夜泣きは犬にとってもストレスになりますし、飼い主様も負担になる。放置すれば近隣住民にも迷惑がかかりますし、それによってトラブルに発展することもあります。つまり、夜泣きは迅速に解決しなければいけない問題であり、そのためには飼い主様がどれだけ愛犬のことを理解しているかにかかっています。

高齢期だから、病気だからと諦めたりせず向き合えば必ず何かしらの理由は見つかります。万が一見つからない場合でもデイケアや老犬ホームという選択肢もあります。近隣住民も事前に周知しておけば理解してくれるでしょう。とにかく行動、これが大切です。時間が解決してくれることもありますが、感情表現である以上あまり期待できないでしょう。

まず解決するために愛犬を観察し、ちゃんと向き合う。夜泣きは決して不治の病ではないことは忘れないでください。

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