【お骨上げはできる?】ペットをお骨上げする時に覚えておきたい知識

個別火葬の場合ペットのお葬儀を終えたら、ご遺骨を拾い上げるお骨上げという行為を行います。大切な儀式ではありますが、実際にお骨上げはどういう意味で行っているのかご存知ですか?意味を知らないままただお骨上げしても、それはただの作業でしかありません。なぜ行うのかをしっかり意識してこそ、儀式は成り立つのです。

今回はお骨上げの知識について解説していきます。また、それ以外でもご遺骨に関する疑問は意外と多いかと思います。お骨の色やお骨上げの順番、関東や関西の違いについても一緒に見ていきましょう。

目次

知っておきたいお骨上げの事前知識

お骨上げは古くから行われていますが、実際にその意味を知る人はそう多くはいません。慣習としてお骨上げをやってしまっているという方もいるのではないでしょうか?ちゃんとした歴史や知識を身に着けると、しっかりとお骨上げに意味を持たせることができます。

ここではお骨上げに関する基礎知識についてお話していきます。

そもそもお骨上げとは?

お骨上げは別名、拾骨や収骨(どちらも読みはしゅうこつ)とも呼び、【火葬後に残ったお骨を遺族や親族など縁の深い者が骨壷へと収める行為】のことを指します。火葬後、このお骨上げをスタッフではなく一般人が行う関係から、世界の葬儀の中でも日本の火葬は特殊な技術を要する難易度の高い部類だと言われています。

古くは奈良時代から始まり、当時は仏教が広まった段階であり一部の上級市民のみ火葬が行われていたそうです。また、火葬は仏教用語では荼毘(だび)に付すと言い、初めて荼毘に付したのは持統天皇(645〜703年)だとされています。お骨上げはその頃から存在し、流れも当時からさほど変わっていません。

実は中国など一部の国でも火葬が行われていますが、お骨が灰になるまで火葬するのが一般的です。お骨上げするのは日本特有のものであり、増して遺族や親族がお骨上げをするのは日本独特のものだと言われています。

お骨上げには長さが違うお箸を使うの?

お骨上げの際は長さが異なるお箸を使って行いますが、そもそもなぜあんなお箸を使用するのでしょうか。それはお骨上げの意味に由来するもので、【死者をあの世まで橋渡しするため】とされています。箸渡しを橋渡しとする、同じ発音のもので別の意味を捉える日本独特の風習ですね。

よく子供のころ、箸渡しをして「行儀が悪い!」と怒られた経験がある人も多いかと思いますが、あれは本来は死者に対して行うものだから生者には縁起が悪いからなんですね。

さて、本題である長さの違う箸を使用する理由ですが、これは違い箸と呼ばれるもので【非日常的な作法で行うことで繰り返しがないようにする】という意味が込められているからです。またそれ以外の説として、【普段使用する箸と区別するため】【男女一組で行うことから】という説もあります。

実は関東と関西でお骨上げの方法が違う

関西の人間が何らかの理由で関東でお骨上げを行う際、大きな骨壷に驚く人も多いです。実は関東と関西ではお骨上げの方法がかなり異なっており、その最たるが骨壷のサイズ。

関東では大きめの骨壷を用いて足から頭蓋骨まで全身の骨を収め、小さな骨粉も全て入れることでお骨上げを完了します。それに対して関西では小さな骨壷を用いて全身から一部の骨のみを収め、骨粉も入れる場合と入れない場合があります。そして残ったお骨はちゃんとした供養をした後、決められた場所に埋葬されます。

これは明治末期に政府が一般人に対しても火葬を推奨するようになった際、関東と関西では意識と風習の違いによって生まれたもの。本来は全てのご遺骨を持ち帰ることになるのですが、関東はこれを守ったのに対して関西は火葬場の近くで埋葬する慣習があったため一部のみを持ち帰ったためとされています。

失敗しないお骨上げの方法

お骨上げは大切な儀式ではありますが、その難易度はかなり高く、失敗してしまう人も珍しくありません。大切な家族のご遺骨、できれば失敗なんてしたくありませんよね?

ここではお骨上げを失敗しないように心がけることや注意しなければいけないことについてお話していきます。

ペットのお骨は崩れやすい

まず大前提として、火葬したあとのご遺骨というのは非常に崩れやすいものです。人間のご遺骨ですら崩れやすいものですから、それよりも小さいことが多いペットのご遺骨がどれだけ脆いのかは想像に難くありません。

骨というと結構丈夫なイメージを持たれる方も多く、「このぐらいの力でも大丈夫だろう」と力を入れてしまい、ご遺骨を崩してしまう場合が非常に多いです。特に頭蓋骨は複雑な構造をしていることや、構成している骨の中には特に小さな骨も多いことから最難関だとされています。

理解したからと言って必ず成功するわけではありませんが、それでも「繊細にお骨上げしよう」と心がけるだけでも力加減はコントロールできるもの。大切なペットのご遺骨をきれいに骨壷へ収めるために、常に繊細な力加減を意識しましょう。

ペットのお骨上げは人間とは方法が違うことも多い

ペット火葬そのもの歴史が浅く、宗教や風習による差異のような類もありません。そのためかペット用のお骨上げに適した方法へと変わっていることが多く、必ずしも人間のお骨上げと方法が一緒だということはありません。また、施設で火葬する場合、その場所のスタッフによっても多少方法が異なる場合もあります。

その際たるがお骨上げに用いる道具。通常は違い箸でお骨上げを行いますが、ペット火葬ではピンセットを使用することがあります。特に小動物はご遺骨も非常に小さいため、通常のお箸ではどうしても持ちづらく、失敗するリスクも高いためピンセットを用いるケースが多いです。

ピンセットでお骨上げをすることに抵抗感を抱く人も少なくありませんが、大切なペットのご遺骨をきれいに骨壷へ収めるために生み出された方法です。どうかペットのことを第一に考え、人間の火葬に対する風習や考えに囚われることなく、最も適した方法でお骨上げしてあげてください。

どうしてもお骨上げに失敗したくない時

本当にどうしても自信がない場合はスタッフがお骨上げをするプランを選びましょう。飼い主様やご家族がお骨上げをするのが一番ではありますが、それに囚われて失敗してしまっては元も子もありません。大切なのは誰がやるのかではなく、ペットのために何ができるのかを考えることです。

もちろん、飼い主様やご家族がお骨上げをした結果、失敗したとしても恥じることではありません。ペットを思いやった結果であれば、どのような結末であれペットも満足してくれることでしょう。ただ、「絶対にご遺骨を崩したくない」という気持ちからスタッフに一任することもペットを思いやった結果と言えます。

どのような判断であれ、結末を悔いることなく受け入れる。そのためにスタッフに任せるという選択肢があることだけは忘れないでください。

お骨上げの際に気になるお骨の疑問

お骨上げをする際、骨の色やお骨上げをする順番に関して疑問を持ったことはありませんか?些細な疑問であっても、解決しなければもやもやした気持ちが残ってしまいます。

ここではお骨上げの際によく疑問に思うであろうことについて解説していきます。

骨の色は真っ白ではない

初めてご遺骨を見た方の中には、色が真っ白ではないことに驚く人も多いです。そう、実は骨の色は必ずしも白いわけではなく、むしろ赤い部分や黄色い部分が混じることはごく自然なことなのです。稀に「黒い部分は悪いところだった」という方もいらっしゃいますが、これは医学的な根拠のない迷信だとされています。

これらの色の正体は身体の脂肪や鉄分などが付着したもの。黒い塊があることもありますが、これはガンではなくススだったり、歯の周りであれば歯髄(歯髄)が露出した部分だと言われています。ただ、これらの情報もあくまで断言できるほどではありません。それぐらい、動物の骨というのは様々な要因で色が付着するのです。

黒い部分や変な色が付着しているからといって決して悪い部分とは限りません。迷信に惑わされて落ち込む事のないようにしましょうね。

お骨上げには順番がある?

お骨上げの経験がなければ分かりづらいことではありますが、お骨上げにはちゃんと順番があります。まずお骨を拾う人の順番ですが、人間と同様に縁の深い人から行います。ペットの場合は飼い主様やご家族の中でも特に懐いていた人から順番に…といったところでしょうか。

次に拾うお骨の順番ですが、前足、後ろ足、尻尾、大腿骨(だいたいこつ)、背骨、あばら骨、頚椎(けいつい)、顎骨(がくこつ)、頭蓋骨、喉仏の順番で骨壷に収めるのが一般的です。喉仏が最後なのはちゃんとした理由があり、形が座禅を組む仏様のようになっていることから、喉仏には仏様が宿っているように見えるからとされています。

お骨上げできない火葬方法

お骨上げは全ての火葬でできるわけではありません。分かりやすいところで言えば合同火葬は他の方のペットも一緒に火葬されるため、どの骨が誰の物なのか分からないためお骨上げができません。同じ理由で、行政火葬も同様にお骨上げできません。

また、個別火葬の場合、選ぶプランによってはスタッフがお骨上げすることもあります。スタッフがお骨上げする方が値段が安くなることが多いため、お骨上げしたい時は値段ではなくしっかりとプラン内容も確認しましょう。

お骨上げをしてペットを天国へ導いてあげよう

お骨上げは難しく、初めての方は少し緊張してしまうかもしれません。特に頭蓋骨は非常に難易度が高く、動物によってはスタッフも失敗してしまったという話を聞くほどです。とはいえ、基本に忠実に力加減さえ間違えなければよほどの小動物でもない限り大きな失敗はしません。落ち着いてゆっくりとお骨上げしていきましょう。

また仮に失敗してしまったとしても、大切なのは自分自身でペットのご遺骨を拾ったという事実です。ペットが無事に天国へ行くためにも、ぜひ飼い主様がご自身でお骨上げしてください。

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